集中治療室での少し怖かった話(ある患者さんの話)
集中治療室で過ごしていた
ある日
隣?のベッドの様子が慌ただしくなりました
人の声が聞こえてきました
「家に帰りたい」と言っている声です
ただ ロレツが回っていません
私は酔っ払った人が運ばれてきたと思いました
その患者さんは看護師さんに必死に話し続けています
「家に帰りたい」ということを
ずっと話していらっしゃいます
が
ずっとロレツが回っていません
私は飲み会の席か何かで具合が悪くなったのかなと思っていました
看護師さんが頑張って患者さんをなだめていました
しばらくしたら静かになりました
そして私も眠りにつきました
ただ
次の日から
この患者さんの声を聞くことはありませんでした
カーテンで仕切られていても
なんとなく「誰かいるな」と言うことはわかるのです
しかし
多分ですが
この患者さんは次の日には隣のベッドにはいなかったと思います
手術して移動したのか?
それとも遠いベッドに移動したのか?
わかりません
ただ
どうか病気が治って
元気に家に帰られていることを切に願います
<振り返って>
ものすごく後になって思ったのですが
ロレツが回っていなかったのは
「酔っ払って」ではなく
「脳の病気」でだったのではないかと
私はバカですね
よくテレビで
脳梗塞やくも膜下出血の初期症状で「ロレツが回っていない」と言っているのに
なぜ気づかなかったのか
おそらく自分がよく言われる
「くも膜下出血の初期症状にまったくあてはまらなかった」からだと思います
また
「手術やその前後の記憶がまったくない」ので
集中治療室で寝ていても
自分が「くも膜下出血になって危険な状態」だということが十分に理解できていなかった
自分の状態をちゃんと認識できていなかったのだと思います
⭐︎このときの私は
「頭蓋骨の一部を外して直接脳に触り血管にクリップをつける手術」である
<脳動脈瘤クリッピング術(開頭クリッピング術)>を受けているなんて
思いもしていませんでした
手術してほんの数年です
しかし
未だ手術前後の記憶は戻っておらず
そのことが悔しくて悔しくてたまりません
思い出したいのです
自分のことなのに思い出せないのが悔しいのです
ものすごく知りたいのです
手術前後どのようにして私は過ごしたのかを
私は何をどのように考えていたのかを
今こうやって書いていても
自分に腹が立ってきます
「思い出せバカ!」
いや
私は
きっと必ず絶対に
思い出します!
思い出してみせます!
脳心
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